11月11日開催のフードバンクシンポジウム、第二部のご報告。
各テーマごとにどのような意見が出たのかをみなさん共有したいと思います。
以下、アシスタントでついたスタッフが各々まとめてくださったものです。
「社会資本とフードバンクについて」
チャールズ・マクジルトン 氏(セカンドハーベスト・ジャパン)
- アメリカと日本におけるNPOの立ち位置の違い
→アメリカは企業の元トップなどの経営陣が退職後にNPOを興したり入ったりするので,経営のノウハウなども取り入れやすく,社会からも一目置かれている。日本は,NPOという印象があまり良くない。文化の違いが大きい。 - チャールズがフードバンクを始めたきっかけ
→炊き出しから始まり,その効率化や日本をもっとよくできのではないかと思い始めた
「フードバンクの可能性とは」
大竹 正寛氏(セカンドハーベスト・ジャパン・アライアンス)
- 和菓子メーカー→フードバンクに協力したいけどうちには生菓子しかないからそれでよければ…
- 障害者施設の人→フードバンクを障害者の就労の場としてマッチングできるのか?
- 主婦の方→もらいすぎて余った野菜をあげたい
行政→生ゴミを減らすためにフードバンクと協力できないだろうか?
「フードバンクができる災害支援とは」
高橋 陽佑氏(ふうどばんく東北AGAIN)
- お菓子を置く場所の検討〜廃校になった小学校などを活用できないか
- フードバンクから支援してもらっているところは、災害時には支援する側にまわりお互い支え合いたい(児童施設の方)
- いつもフードバンクから支援してもらっていると、それを当然と感じてしまってきたので、最近は受け取っていないと話していた(介護施設の方)
- 災害時には、家から動けない方は食糧などがもらえない(足が不自由な方など)
「食品ロス削減に向けてできること」
山本 靖子氏(九州農政局経営・事業支援部事業戦略課)
- 食品ロスの話が中心で、大盛りはたくさんあるけど小盛りや中盛りはえらべない
- 冷蔵庫に入れっぱなしにしてして腐らせる問題
- 今、学校教育で、賞味期限について習うなしくやたら小さい子が賞味期限を気にするようになった、
- 大盛り普通盛り以外の選択肢の増加 教育で賞味期限と消費期限の正しい知識を教える 冷蔵庫一掃セールを週に一回する
- 結婚式などの料理を持ち帰られなくなって家族でシェアできなくなったなど、食中毒に過敏になっている背景もある
「多様な主体の協働の進め方」
印南 百合子氏(鹿児島県・共生協働課)
- おばあちゃんは比較的外に出て人と話をすることが多いが、問題はおじいちゃんで、引きこもりがちになる。また、物資の援助もおじいちゃんの場合、「人の助けはいらない!」というような感じで援助を受けにくいらしい。しかし、そんなおじいちゃんたちに物資を「受けとる側」ではなく、届いた物資を独り暮らしのおばあちゃんの家などに「運んでくれないか?」とお願いしたところ、おじいちゃんたちが進んで家から出てくるようになった。このように、お年寄り(特におじいちゃんが)社会的役割をもらうことでいきいきし出した。[援助する側]でなく[仕事をお願いする]こと、(役割を与えてやりがいを感じること)も大事。
- 物資を独り暮らしの高齢者などに配り、その際に話をすることで人とのつながりもできる。
また、どの家に独り暮らしの高齢者がいるか把握できるため、高齢者の方が元気かどうか確認ができる。こういったことから、地域のつながりが大事。
行政が、そういった活動があることを把握するだけでもいいことだし、活動に対して「いいね!」と言ってくれるだけで活動もよりやりやすくなる
「施設とフードバンクの関係について」
丸尾 英嗣氏(母子生活支援施設・第二千草寮)
- どんなものを貰ってるのか→調味料、お菓子(スナック菓子等)、飲み物(炭酸飲料、ジュース等)、カップ麺等。基本的に日保ちするものが多い
- 配給したものばかり食べているのか?→基本的には自炊。
- 利用者同士でトラブルはないのか?→多く、絶えない
- 貰えることが当たり前になっていないか?→なっていて、今日はこんだけ?とか何が欲しい等という声もある。
- これからどんなことしたらいいか→クッキングを増やす
「企業とフードパンクの関係について」
若林 豊氏(味の素ゼネラルフーヅ株式会社)
- フードバンクに食品提供することで、廃棄費用が大幅に減った。
- メーカーさんは、小売から受注があれば翌日には届けなければいけない。だから在庫を必ず持っておかないといけない。しかし、3分の1ルールに則っているため、納入期限が過ぎればその商品の価値はゼロになり、廃棄になる。
- マーケティングは外れる。「売れる」と言われたものが売れず、在庫になることもしょっちゅう。
- 逆に在庫を減らすために製造をセーブしたら欠品になる。翌日までに小売に届けられない。
- 他の食品メーカーさんも来ており、食品廃棄の現状をお話。商品を作る段階でどうしても包装のプリントミスなども出てしまい、廃棄になるそう。「監視カメラもつけて管理しているのですが…」
「地域の特性を活かした新しいフードバンクの形について」
原田 一世(フードバンクかごしま)
- 鹿児島は高齢者や独り暮らしの人多い
→フードバンクの食品によって人との交流のきっかけができる - 食品を受け取る側も、与えられる側ではなく、役割をもった不可欠な存在に
→食品を取りに来てくれる
→ボランティアとしての協力 - 食品の保管場所もフードバンクの課題の一つ
→地域で廃校になった校舎を倉庫として活用
「学生チームが今後さらに活動の場を広げていくためには」
古川 周平(フードバンクかごしま学生チーム)
- 学生1人1人が自分ができる範囲で活動に参加できる環境を整える。
- 他のボランティア団体やサークルとタイアップする。
- 様々なイベント案(スープ作りイベントなど)
- いくつかの施設の方達から学生がもっと来て欲しい、という意見も。
様々な貴重な意見だたくさんあり、今後のフードバンクかごしまの今後の展開のヒントを得られました。フードバンクかごしまだけでなく参加者のみなさん・講師のみなさんにとって今後の展開のきっかけにもなったのであればとても嬉しい気持ちです。
受付ホールでは九州農政局さん・味の素ゼネラルフーヅ(AGF)さんのブースを出しました。
休憩中にはAGFさんがおいしいコーヒーをご用意して下さり、参加者のみなさんをホッとさせてくださっていたようです。